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【閲覧注意】女「(……血が飲みたいなあ)」

その女に会ったのは、学校の廊下だった。 その男に会ったのは、学校の廊下だった。 お互いがすれ違った時に気がついた。 こいつ、おかしい。 絶対、普通じゃない。元スレSS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)【閲覧注意】女(……血が飲みたいなあ)http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386058635/<a href="http://rank.i2i.jp/"><i src="http://rc7.i2i.jp/bin/i/i2i_pr2.gif" alt="アクセスランキング" /></a><div><font size=1><a href="http://rank.i2i.jp/" target="_blank">アクセスランキング</a></font></div> 

女「」ハァ…… 男「」ハァ…… 女(血が飲みたいなあ……) 男(人が食いたいなあ……) 女「え?」 男「は?」 二人は振り返り、互いの顔を凝視した。 周りの生徒が少し驚いた様に、お互い見つめあう二人を眺めていたが、やがて興味を無くしたのか去っていった。 二人はまだお互いの顔を眺めていた。

女(この人、絶対に変) 男(この子、絶対に変だ) 女(ていうか、何でこっちじっと見てるの) 男(つーか、何でこっちじっと見てるんだよ) 女(だってあなたが変な事を考えてるからでしょ) 男(そりゃお互い様だろ) 女「え?」 男「え?」

吸血鬼と食人鬼かな? あるいはどっちも人間で吸血嗜好と食人嗜好ってだけかな?

女(…………) 男(…………) 女(もしもーし、聞こえますかー) 男(はーい、聞こえますよー) 女(…………) 男(…………) 女(……とりあえずさ、君、学校が終わったらちょっと話さない? 聞きたい事あるし) 男(そうだな。そうするか。俺もあるし) 女(駅前のマックでいい?) 男(いいよ。じゃあ、授業が終わったらそこで) 女(じゃあ、また) 男(また)

女(ちなみにさ。……廊下ですれ違った時に考えていたアレって本気?) 男(いや、そうじゃ……嘘ついたって意味ないか。どうせわかるんだろうから) 女(ま、ね。少なくとも嘘かそうでないかぐらいはわかるよ。って事は本気なんだよね……) 男(ドン引きするよな、そりゃ) 女(別にそういう訳じゃ……ってこれも意味がないんだよね。……うん。ドン引きした。正直、かなり怖いよ、君) 男(そういうお前だって、血を飲みたいって思ってるんだろ? こっちも引くわ) 女(人を食べるよりはマシだと思う) 男(……まあ、言い返せれないけどさ)

男(それで、お前の方はどうなんだ? マジで血が飲みたいの?) 女(うん) 男(笑顔でうなずくなよ。こえーよ) 女(仕方ないでしょ、飲みたいものは飲みたいんだから。そっちよりは絶対マシだよ) 男(……否定出来ないのが辛い) 女(大体、肉食べる時にどうせ血も飲むんでしょ? ちょっと欲張りすぎだよね) 男(いや、俺は血には別に興味ないし。むしろ血抜きしたい) 女(血がいらないなんて、頭おかしいよ) 男(どっちがだよ、このヤロウ)

男(大体さ、血が飲みたいなら、そこらでレバーとか買ってくればいいじゃないか。別に困りゃしないだろ) 女(あんなんダメだよ。一回試したけど、全然。むしろ気持ち悪くて吐いたよ) 男(言ってる事おかしい) 女(違う、違う。わかってないんだって。私が欲しいのは人の生き血だけなんだから。牛とか豚なんて気持ち悪いだけじゃん) 男(ますますおかしい) 女(ちょっと、ドン引きしないでよ) 男(普通するだろ……。人に話したら間違いなく通報されるレベルだぞ) 女(そっちだって同じでしょ!) 男(……そりゃそうだろうけどさあ)

男(一応、聞いとくけど自分のはダメなの?) 女(自分のはダメ。これも吐いたから) 男(試したのか……) 女(そっちはどうなの? 自分の肉、食べた?) 男(とてもまずかった) 女(こら) 男(切る時、すっげー痛かったしさ。ものすごい損した気分) 女(人の事言えないじゃん!) 男(まあ、そうなんだけど……)

女(でも、何でこんな飲みたいのかなー……不思議) 男(人の心が読めるのも十分不思議だと思うけど) 女(ん……まあね。でも、まあそっちはいいかって) 男(結構、軽いね) 女(それはお互い様でしょ。それにさ……) 男(あ、やっぱ心当たりあるんだ) 女(ああ、それもわかっちゃうんだ? まあね) 男(ま、俺も同じだし) 女(んー……みたいだね) 男(それが何かまではわかる?) 女(ううん。漠然とし過ぎててわかんない。そこまで詳しくは心を読めないから。そっちは?) 男(同じ) 女(ふーん……) 男(うん)

女(まあ、ありがと。君の事はこれで大体わかったよ。一応ギリギリ危険人物じゃないってところだね) 男(そっちもな。結構ギリギリ危険人物じゃないって事はわかった。純粋な子みたいだし) 女(当たり前じゃん?) 男(えばんな。吸血鬼もどき) 女(うるさい。カニバリズム) 男(好きでそうなった訳じゃねーよ) 女(私だってそうだよ)

女(で、ものは相談なんだけどさ) 男(断る) 女(いいじゃん) 男(やだ。俺の血は俺の血だ。飲ましたくない。それに気持ち悪い) 女(ひどいよ、それ! 乙女に言う言葉じゃないって! かなり傷ついたよ!) 男(あ、ホントだ。傷ついてる。でも、気持ち悪いのは確かだし) 女(おおう……) 男(あ、でも、女自体は可愛いと思うぞ) 女(おおう//)

こう言うの… 良いです

凄く… 良いです

女(いいじゃん、少しだけだよ。それに、君ならこの気持ちわかるでしょ? 私がどれだけ血を飲みたがってるか) 男(……まあ、わかりはするけどさあ) 女(だったら) 男(でも、俺がどれだけ血を飲ませたくないかもわかるだろ?) 女(……まあ、わかるんだけどね) 男(だから、この話はこれでおしまい) 女(わかっ……ん? あれ?) 男(?) 女(今、ちょっと飲ませてもいいかなって考えたでしょ?) 男(ギク) 女(なんてベタな表現をするの、君……)

男(ん……まあ、確かに少しは思いはしたけどさ。ただ、その代わり……) 女(断る) 男(……やっぱそうなるよな)ハァ…… 女(代わりに私の肉を食べたいとかありえないって。マジで) 男(少しでいいんだけど) 女(いやいやいやいやいや、ムリムリムリ。痛いのやだし、何か気持ち悪いし) 男(おおう) 女(あっ、でも安心して。君自体は別に嫌いじゃないよ。むしろ好きな部類に入る) 男(おおう//)

男(まあ、それはともかく) 女(何がともかくなのかよくわからないけどさ) 男(食べさせて) 女(甘えっ子か) 男(いや、そんなんじゃないけど//) 女(何で照れてるのよ)

男(別に全部食べたいとか言ってる訳じゃないんだから。一欠片だけでいいって) 女(でも、本当は?) 男(全部食べたい。頭から足まで余すところなく) 女(気持ち悪い) 男(だよな……) 女(つーか怖い) 男(だよな……) 女(それ、私を殺す気、満々じゃん) 男(そんな事はないって。殺したくないからさ) 女(うん。それは本当みたいだね) 男(当たり前だろ) 女(まあ、確認の為に)

男(だからさ、ちょっとカッターで切ったぐらいでいいんだよ。それ以上は望まないから) 女(痛いのやだ) 男(ですよねー……) 女(それに、君が私の肉を食べてるとこ見るのもやだ。気持ち悪い) 男(連呼しすぎ。結構傷つくからやめて) 女(見かけに似合わず繊細だね、君) 男(でなきゃぼっちになんかなってないと思うんだ) 女(まあ、それもそうだね) 男(お前は見かけ通り繊細だよな) 女(だよね) 男(喜ぶなよ) 女(喜ばせろよ、おい)

男(という事で、少しだけ食べさせて) 女(どういう経緯を辿ってそうなったの?) 男(流れ的に) 女(いやいや、おかしいから) 男(とにかく、食べさせろ) 女(力業だ)

女(とにかく、私は食べさせる気なんかないよ) 男(そっか……。ま、仕方ないか) 女(でも、君の血は飲みたい) 男(単なるわがままかよ) 女(だって、肉を食べるのと血を飲むのって大違いだよ) 男(調理の必要があるからな) 女(そういう問題じゃない!)

女(だって、こっちはかなり痛い思いをしなきゃいけないでしょ) 男(でも、俺も注射されるんだよな?) 女(じゃあ、注射されるのとカッターで肉をえぐられるのとどっちがいい?) 男(注射) 女(ほら) 男(ドヤ顔されても困るんだけど) 女(ノンノン、これは勝者の微笑みだから) 男(ノンノンって言う人初めて見た) 女(そこは置いとこ?//) 男(まあ……わかった)

女(でさ) 男(うん) 女(少しでいいから飲ませてよ) 男(……やなんだけどなあ。それに、何か俺だけ損してる様な気がするし) 女(そこを何とか) 男(何とかって言われても……) 女(頼んます、旦那) 男(キャラ変わってね?)

女(キャラ崩壊してでも飲みたいっていう意志の表れだよ) 男(それが何だかよくわからないけど) 女(細かい事は気にしちゃダメだよ、君、男でしょ?) 男(実は女なんだ) 女(嘘はいいから) 男(嘘もつきたくなるって) 女(いいから) 男(……んー)

男(……じゃあ少しだけな) 女(ホントに!!) 男(ホントか嘘かはわかるだろ?) 女(ホントだ!!) 男(喜びすぎ) 女(そりゃ喜ぶって! ありがとう!!) 男(ん……まあいいけど) 女(キャホッー♪) 男(…………) 女(あ) 男(ん?) 女(こんなに喜んでくれるなら、まあ悪くないかって思ったよね、今?) 男(そこは聞いてても黙ってようか。恥ずいだろ//) 女(やっぱ君、優しいよ。ありがとね♪) 男(…………) 女(照れない、照れない♪) 男(だから黙ってろと)

男「それで、血の味以外の感想はどうでした、女さん。初めて他人の血を飲んだ訳ですが」 女「何で急にレポーター風になるのよ」 男「ノリで」 女「ノリか」 男「で、実際どうだった?」 女「吸血鬼の気持ちがよくわかったね。アレは飲むよ。夜な夜な街をさまよって飲み回るよ」 男「酒好きのオッサンみたいだ」 女「むしろ私は吸血鬼になりたい」 男「本気だ」 女「だって好きなだけ飲み放題だよ?」 男「フリードリンクじゃないんだからさ」

男「本当に少しでいいからお願い出来ないか」 女「嫌だってば。痛いの嫌いだって知ってるでしょ。っていうかわかるでしょ?」 男「ぐぬぬぬ……」 女「すごい残念がってるのはわかるけど、そこは諦めて」 男「……わかった」 女「意外とあっさり引いたね」 男「だってお前、絶対食べさせないって思ってるだろ?」 女「ん。まあね。流石に肉はやだ。血だったらあげてもいいけど」 男「血はいらない」 女「なんだよねー……。不思議でたまらないけど」 男「お互い様だ、それは」 女「ん。そうだね」

その翌日の昼休み、男は教室の自分の席でぼんやりと外を眺めていた。 友達や恋人と縁を切って以来、男に話しかける人間など誰一人いない。男としてはそっちの方が気疲れしないで済むから、遥かに楽だった。 (あいつ、最近マジ意味わかんねー) (一人でいるのがいいとか思ってんのかな、あいつ。頭悪いっしょ) とはいえ、嫌がおうにも入ってくる心の声だけは仕方がなかった。耳をふさぐ事は出来ても頭の中まではふさげない。 どうしようもない事だってある。

男は跳ね起きた。 クラスの何人かがびっくりした目でこっちを見ていたが、男はそれどころではなかった。 慌てて周りを見回したが、そこに姿はない。 だが、確実にその声はどんどんと大きくなっていった。 つまり、確実にこちらへと向かって来ていた。 誰が、何てわかりきっていた。 一人しかいるはずがなかった。 クラスを知らないから、探しているに違いなかった。

教室の扉がゆっくりと開く。 男の背中に冷たい汗が流れ落ちた。 姿を現したのはやはり女だった。 男の姿を見つけると彼女は安心したように微笑んだ。 良かった……。やっと見つけた……。 まるで、お腹を空かせた仔犬が母犬を見つけた様な、そんな微笑だった。

これあかんやつや

女(ねぇ、男君、お願い。私に血を飲ませて) 哀願する様に彼女は語りかける。 女(お願い、飲まないと私死んじゃいそうなの。だから飲ませて。もう一度だけ飲ませて。私、何でもするから。私を食べたいっていうなら食べていいよ。好きなだけ好きなところを食べていいよ。だから、私に血を飲ませて。お願い!) 足はすくんで動けなかった。 でも、目が離せなかった。 こちらをじっと見て血が欲しいとおねだりする彼女はそれぐらい可愛らしく、そしてとても美味しそうだった。

二人で屋上に上がると彼女はすぐに求めてきた。 血を。 注射器を片手に女は恍惚とした表情を浮かべていた。 また血が飲めるんだ。 男の脳の中にはそんな声しか聞こえてこない。 腕を差し出すと、彼女は消毒もそこそこに注射針を突きつけた。 男「っ!」 女「我慢して。我慢、我慢、我慢、我慢、我慢、我慢、我慢だよ。すぐに終わるからさ、すぐに終わるから、すぐに終わるから、すぐに終わるから、すぐに終わるから」 まるで自分に言い聞かせるように女は呟く。 正直、怖くてたまらなかった。

あぁ…美味しい……。 たまんない……。 イッちゃいそう……♪ 昨日、あれだけ恥ずかしがっていた女の姿はもうそこにはなかった。 欲情に溺れたように、ただ、ただ、血を飲み下す少女がいるだけだった。 男はそんな女の姿を見たくはなかったが、やはりどうしても目が離せなかった。 悲しさと可愛らしさと不気味さと食欲。 それも女に伝わっているはずだろうが、しかし、彼女はそんな事はどうでもいいように血を味わっていた。

男「……あと一本だけなら、渡す」 男の声は自然と震えていた。 女「一本だけ……?」 不満そうに女は言う。 男「一本だけ。それ以上は絶対にダメだ。それで我慢しろ」 女「ん……わかった……」 残念そうな声だった。残念そうな目つきだった。残念だなあと女は心の中で言っていた。 全部欲しかったのに。 思わず鳥肌が立った。

((((;゜Д゜)))ガクブル

それからどれぐらいの時が経ったのか、男にはわからない。 ひょっとしたら五分も経ってなかったかもしれないが、一時間以上経っていたと言われても男は信じたかもしれない。 二本目もすっかり飲み終えた女は、唾液でベトベトになった注射器片手に寂しそうに立っていた。 さっきまで聞こえていた女の心の声も今はろくに聴こえてこない。 ただ、満足感と悲しさだけが女の心を包んでいたのが男には感じとれた。 男「……美味かったか?」 女「……美味しかった」 女はぽつりと呟いた。

こういう、幽霊じゃない恐怖系の世にも奇妙な話系は好き。ちょっと変わった子が徐々に豹変するみたいなのが。

引きこまれた 良いね

女「……ごめん、怖がらせて。もう大丈夫だから……」 男「そうか……」 女「もう血を飲みたいって気持ちは収まってる……」 男「知ってる」 女「後悔してる……」 男「わかってる」 女「頭の中、血の事で一杯になって……」 男「そうだな」 女「君が怖がってても全く気にならなかった……」 男「……うん」 女「血の事以外、考えられなかった……」 男「うん……」 女「他はどうでもよくなってた……」 男「…………」 女「……おかしいよね。これ……」 男「……そうだな」

翌日。男は休み時間になる度に、裏庭へと向かった。 教室だと、女にすぐに見つかるに違いない。そう思っての事だった。 そして、毎回、休み時間が終わるギリギリに教室へと戻った。 毎回、女の姿はなかった。 このまま、一日が経てばいい。 心の底から男はそう思う。 ひょっとしたら、今日は我慢出来ているのかもしれない。 心の片隅でそう願う。 ……しかし、やはりそんな考えは甘かった。

それが聞こえて来たのは、四時限目の終わりがけだった。 教室の外を見ると、まだ授業中だというのに廊下に女が立っていた。 目を見開いて、じっと男の方を見ていた。 普段の女の顔からは想像がつかないほど、それは無表情だった。 獲物を捕まえる前のカマキリを連想させる目だった。 女の手にはカッターが握られていた。

男君、血を飲ませて。 ……やめろよ、おい。 飲ませて。 昨日言っただろ、絶対に飲ませないって……。 じゃあ、仕方がないね。 ああ。 切り刻んで飲むよ。 女は本気だった。

屋上に行くと、そこは相変わらず誰一人いなかった。 仮にいたとしても、きっと女はもう何も気にしなかっただろう。 カッターの刃を出して、そのまま教室に入って来ようとしたぐらいだ。 教室で飲もうと考えていたぐらいだ。 男がうなずかなかったら、女は間違いなくそうしていた。 もう逆らう事も逃げる事も出来ない事を男は悟った。 女の言いなりになるしかなかった。

女「じゃあ男君、手を出して♪」 血が飲めるとわかってから、女は声も表情もさっきとは同一人物とは思えないぐらい明るい。 男「わかった……」 ここで拒否したら間違いなく女は逆上するだろう。男は言われた通り、手を差し出した。 女はカッター片手に嬉しそうに微笑んだ。 女「ありがとう」 女はカッターを男の人差し指に当てると、何のためらいもなく笑顔で切りつけた。 男「ぐっ!!」 女「……いただきます♪」 そして、何のてらいもなく、当たり前のように男の指にしゃぶりついた。

食べれるものなら食べたい。 この声はきっと女には聴こえていない。聴こえているだろうけど、どうせ女はまともに聴いちゃいない。 食べたい。 まるごと食べたい。 余すところなく食べたい。 今すぐ腕にかじりつきたい。 柔らかそうな太ももにかじりつきたい。 炙らなくていい。生のままでもいい。食べたい。 食べたい。 食べたい。 食べたい。 このどうしようもなく可愛くて危険なこの子を、内臓から骨まで何から何まで食べ尽くしたい。 食べたい……。

……気がつくと女は離れていた。 女「絆創膏……持ってくるね」 もったいないから。 血が無駄に流れてるの、もったいないから。 女の心の中は、傷の心配よりも、血の心配の方が遥かに強かった。 心が痛い。 ずっと吸われ続けた指も痛い。 舌でずっとなぶられていた傷口も痛い。 まるごと食べたいと本気で思っていた事を、彼女に知られたであろう事も痛い。 何もかもが男には痛かった。

女「男君……」 絆創膏を貼りながら、女はぽつりと呟いた。 女「私を、味見する……?」 男「…………」

乙  この2人どうなってしまうんだろう  続きを知るのが怖い

怖すぎワロタ…

輸血って出来るのかな……。何か言い訳考えないとな……。 やだ。それは男君の血じゃないもん。 そっか……。輸血した血は、お前は飲みたくないのか……。 当たり前じゃん。もし、そんなの飲まされたら、私、何するかわからないよ? いいの、それでも? 良くはないな……。 だよね? そうだな……。 そうだよ。 だよな。 だよ♪ ……世の中知らない方がマシな事だらけだな。 そんなのどうでもいいよ。今が幸せならそれでいい♪ そうだな……。 うん♪

ねえ、男君……。 何だ? 私ね、君の事、愛してるよ。 そうか…………。 そこで、男は意識を失った。 それでも女は血を吸っていた。 嬉しそうに。 嬉しそうに。 嬉しそうに。

女「起きた……?」 気がつくと、そこには心配そうな顔を向けている女がいた。 男「そっか……俺、気を失っていたのか……」 女「うん……。多分、ていうか絶対に貧血……」 男「それしかないもんな……」 女「……うん。あっ、起きちゃダメだよ。まだ寝てて」 男「……わかった」 男の足の下には女の鞄が置かれていた。 貧血の応急処置。 元から知っていたのか、調べたのか。 どっちでもいいか……。 貧血からか、男は考えるのが面倒になっていた。 どうでも良かった。

男君、そのままでいいから聞いて。 ああ……。 ……私ね、男君の事が好きだよ。 知ってる。 ……これ以上ないってぐらい好きだよ。 知ってる。 嘘じゃないからね。ホントだからね。 うん……わかってる。 死ぬほど君が好きだよ。 うん……。 男君のためなら死ねるよ。それぐらい好きなんだよ。 …………。

不意に、口の中に女の肉の食感が思い浮かんだ。 肌のほんのりとした贅沢な味わいが思い浮かんだ。 男はそれを忘れようとした。 直感的にこれは良くないと思った。 しかし、忘れようとすればするほど、その事だけが頭に思い浮かんだ。 止められなかった。 いくら夕飯を口の中に放り込んでも、歯磨きを何度もして口を何回ゆすいでも。 思い出すのは、女の肉の味だけ。 消えない。 まるで消えない。 頭の中に、口の中に、こびりついた様に消えない。 これはやばい……。 本気でそう思った。

夜、ベッドの中で男は何度も寝返りをうった。 女の肉の事が気になって、全く眠れなかった。 気を紛らわそうとして、自分の腕にまで噛みついた。 痛いだけだ。 当たり前だ。痛いだけだ。 それでも、何度も自分の腕に噛みついた。 くっきりとした歯形が幾つも残った。 痛い。 痛い……。 そんな時、不意に携帯が鳴った。 女からだった。

乙 いいなぁ。黒いのにすごく綺麗な感じだ。

家から外に出ると、女は無表情で街灯の下に立っていた。 前みたいに、昆虫のような目をしていなかった分、まだマシなのかもしれない。 その横には大型のワゴン車が駐車してあった。 女「……遅かったね」 男「早い方だよ……」 女「とりあえず、乗って」 男「乗ってって……お前、車で来たのか!?」 女「そうだよ。お父さんの車を勝手に借りてきた。乗って」 男「お前、だって免許は……」 女「乗って」 男「…………」 女「乗って」 男「わかった……」

男「……なあ、どこに行く気だ?」 女「山の中」 男「そっか……」 男の頭の中は霧がかかったようにぼーっとしていた。 多分、寝不足だったからだろう。 多分、貧血気味だったからだろう。 多分、女の事が食べたくて食べたくて仕方がなかったからだろう。 「山の中」と聞いた時、男は一つの事しか思い浮かばなかった。 埋められるんだろうな。 そんな、どうでもいい事だった。

時間にして、およそ四十分ぐらいだろうか。 途中で何度もこすけたりぶつけたりしながらも、二人を乗せた車はどうにか目的地までたどり着いた。 着いた場所は、夏にキャンプ場として使われているところだった。 今は冬でおまけに深夜だ。 誰もいない。 そして、誰も来ないと思われる場所だった。 例えそこで人殺しがあったとしても。

車から降りると、女はすぐに男の手をとってカッターで切りつけた。 そして、当然のように飲み始めた。 男は抵抗しなかった。 血を飲んでいる彼女は美しく、そして、血を飲まれている自分も嫌いではなかった。 その内、男の意識は朦朧としてきた。 当たり前だ。 今日、一回、気絶してるのだから。 そんなにすぐに血が再生されるはずがなかった。 それから十分もしない内に、男は再び意識を失った。 女は目から涙を溢しながら、それでも血をすっていた。

夢を見た。 ふと入ったレストランに、人肉のステーキがあった夢だ。 男は喜んでそれを注文した。 ウェルダンで。塩とコショウを少し多目に。 ほどなくして、こんがり焼けた腕と脚が運ばれてきた。 男はそれをナイフとフォークで丁寧に切って、期待に満ちた表情で口の中に運んだ。 極上の味がするはずだった。 だが、口の中に入れて『それ』を味わった瞬間、男は強烈な吐き気を覚えて『それ』を床に吐き出した。 たまらず胃液が込み上げてきて、再び男は床の上に吐いた。 そんな夢を見た。

バイバイ

涙をこぼしながら。震えながら。女は幸せそうに微笑んだ。 折り畳み椅子が蹴られた。 女の体が宙にぶら下がった。   

ああああああぁぁぁぁ…

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ

木の枝にぶら下がる女の姿。 風と振動で体が微かに揺れる。 それだけ。 それ以外は、もうぴくりとも動かない。 死んだ。 女が死んだ。 目の前で死んだ。 それを見て。女の死ぬところを見て。女の死体を見て。 男が真っ先に思った事はたった一つだけだった。

うわ、まずそう……。 食べられねーわ、これ…………。

死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。 死のう。

気がつくと男は折り畳み椅子に上って『死肉』をロープから下ろしていた。 そして、代わりに自分の首にそのロープを巻きつけていた。 頭の中には後悔しかなかった。 心の中も後悔しかなかった。 男にはもう生きる理由がなかった。 死ぬ理由ならあった。 それだけの事だった。

私の事、美味しく食べてね。 残さず食べてね。 全部食べてね。 私の事、全部、君だけのものにしてね。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■ 約束だよ…………。

もう遅かった。 ごめんな……。 ごめんな……。 ごめんな……。 もう手遅れだ…………。 もう無理だ…………。 ごめんな…………。

……ふと、頭の中で声がした。 『やり直せるかどうかはあなた次第……』 ……そんな声だ。

そうだな……。 次こそは……。 女が生きてる内に食べよう…………。 どこでもいい。何でもいい。必ず食べよう…………。 そうしよう……………………。   

    

私の事、美味しく食べてね。 残さず食べてね。 全部食べてね。 私の事、全部、君だけのものにしてね。 食べてる間中、ずっと私の事を愛してね。 ずっとずっと愛してね。 『私の事、愛してね』 約束だよ…………。

    

お互いが『すれ違った』時に、気がついた。 そこは一ヶ月前の、自分の家だった。 思い出せるのは、自分が自殺した事だけだった。 お互いが、すれ違った『時に』気がついた。 その女に会ったのは学校の廊下だった。 その男に会ったのは学校の廊下だった。 お互いがすれ違った時に気がついた。 こいつ、おかしい。 絶対、普通じゃない。   

すばらしいSSでした 正解ルートはやらないのですか?

乙 報われてほしいな

乙言い忘れていた 二人がいつか報われることを祈って乙

乙 さて最初から読み返すか

おつ 男が先に肉を食ってても同じ結末だったのかな

おつ 鳥肌立った…

ほがらかに死んでいくために、私は生きようと思う。 ーー ドイツの詩人、ゲレルト   

男は夢を見た。 終わりのなさそうな夢だ。 永遠に続くかのようなそんな夢だ。 それでも男はこの夢を見続けた。 それが自分自身への罰のように、ただひたすら見続けた。 延々と。 ひたすら延々と。 この夢を終わらせてはいけないかのように。 この夢を忘れてはいけないかのように。

どれぐらいの時が経ったのか。 時間なんてたいして意味もなくなった頃ぐらいに。 その夢を見続けるのもいい加減疲れはてた頃に。 男の前に女が現れた。 女はいつも通りの表情で。 女はいつも通りの口調で。 女はいつも通りのわがままぶりで。 男にこう言った。

    

その女に会ったのは学校の廊下だった。 その男に会ったのは学校の廊下だった。 お互いがすれ違った時に気がついた。 こいつ、おかしい。 絶対、普通じゃない。   

女「」ハァ…… 男「」ハァ…… 女(……鼻水が飲みたいなあ) 男(……耳くそが食べたいなあ) 女「ええ???」 男「はあ???」 二人は振り返り、互いの顔を凝視した。 周りの生徒が少し驚いた様に、お互い見つめあう二人を眺めていたが、やがて興味を無くしたのか去っていった。 二人はまだお互いの顔を眺めていた。 こいつ、すげー危険な変態だ、と自分の事は棚に上げて眺めていた。

おつ このオチは予想できなかったわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

鼻水と耳くそじゃねえよwwwwwwwwww

鼻水と耳くそを脳内で唾液に変えるだけで幸せな未来が見える